新型プリウスの燃費は本当に良くなった?実走行で検証
1. 新型プリウスの燃費性能 総まとめ
1-1. WLTCモードの燃費(カタログ値)
新型プリウス(第5代目)のWLTCモード燃費は、「26.0 km/L~32.6 km/L」と非常に優れた数値を誇ります。
最高値は1.8Lハイブリッド(2WD)の「X」または「U」グレードで32.6 km/L、最低値はPHEVの「G/Z」(2.0Lハイブリッド)で26.0 km/Lです。
1-2. グレード・駆動方式別の燃費比較
各グレードと駆動方式の組み合わせによる燃費差も見逃せません。以下のような傾向があります
グレード/タイプ | 駆動方式 | WLTC燃費 |
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U/X(1.8L、HV) | 2WD | 32.6 km/L |
U/X(1.8L、HV) | E-Four | 30.7 km/L |
G/Z(2.0L、HV) | 2WD | 28.6 km/L |
G/Z(2.0L、HV) | E-Four | 26.7 km/L |
グレード別総合では、燃費良好順に「U/X(1.8L/2WD)」>「G/Z(2.0L/2WD)」>「E-Four」>「PHEV G/Z」という序列が成り立ちます。
1-3. 旧型との燃費比較
4代目と比べても、新型は確実に燃費が向上しています
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ハイブリッド2WD:旧型27.2~32.1 km/L → 新型28.6~32.6 km/L
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ハイブリッドE-Four:旧型25.4~28.3 km/L → 新型26.7~30.7 km/L
また、PHEVモデルではガソリン燃費こそ落ちるものの、EV走行性能が大幅に進化しています。
燃費重視でグレードを選ぶなら
燃費を最大限に重視するなら
U/X(1.8Lハイブリッド・2WD) がWLTCモード燃費32.6 km/Lとトップ。通勤や日常使いの燃費に敏感な方に最適です。
バランス重視なら
G/Z(2.0Lハイブリッド・2WD) は燃費も良く、走りの余裕もあり快適性に優れた選択肢です。
雪道や悪路での走行が多いなら
E-Four(4WD)モデル が安心ですが、燃費は若干低下します(例:U/Xで30.7 km/Lなど)。
充電環境があるなら、燃費でも優位なPHEV
PHEV(G/Z) はガソリン燃費が26.0 km/Lと控えめですが、EV走行での走行距離が長く、日常の移動でガソリン使用を抑えられます。
2. 高燃費を支える技術的ポイント
2-1. 1.8 L ハイブリッド(U・X)と 2.0 L ハイブリッド(G・Z)の違い
新型プリウスには、1.8 L ハイブリッド(U・X) と 2.0 L ハイブリッド(G・Z) の2種類のシステムが搭載されています。どちらも最新の第5世代ハイブリッドシステムを採用しながら、それぞれ異なる強みを持ちます。
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1.8 L ハイブリッド(U・X):
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燃費性能に特化。WLTCモードで 32.6 km/L(2WD)、E-Fourで 30.7 km/L を達成し、新型プリウスで最も高燃費を誇るグレードです。
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2.0 L ハイブリッド(G・Z):
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小型化・軽量化と高効率化が進められたパワートレインにより、運動性能と燃費の両立を実現。WLTCモードで 28.6 km/L(2WD)、E-Fourで 26.7 km/L という数値です。
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このように、「U・X」は“燃費重視”、「G・Z」は“走りと燃費のバランス派”という棲み分けができます。
2-2. プラグインハイブリッド(PHEV)の特徴と電費性能
プリウスPHEV では、ガソリンに加えEV(電気)走行が可能なことで、圧倒的な低燃費と静粛性を実現しています。
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WLTCモードでの燃費:
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19インチ仕様:26.0 km/L
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17インチ仕様:30.1 km/L(タイヤによる違いにも注目)
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EV走行距離:
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19インチ仕様:87 km
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17インチ仕様:105 km と、従来型より改善されています。
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電費(電気1kWhあたりの走行距離):
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約7.46 km/kWh の効率で、電気コストは非常に低く抑えられます。
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機能面でも強化:
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例えばジオフェンシング(位置連動最適化)を実装する欧州モデルでは、EV走行距離最大110 km、燃費0.5 L/100 km(約200 km/L相当)という驚異的な性能を達成しています。
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これらにより、毎日の通勤・買い物など短距離ならほぼ電気のみでまかなえるうえ、省エネ効果も高いのがPHEVの大きな魅力です。
2-3. タイヤサイズや E-Four の影響など、燃費差の要因
燃費性能には、エンジン以外の要素も大きく関係しています。
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E-Four(4WD)による影響:
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2WDに比べ、約1.5〜2.0 km/L 程度 燃費が悪化する傾向があります。例えばZ・Gグレードでは、2WDの 28.6 km/L に対し、E-Fourが 26.7 km/L です。
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ただし雪道や悪天候での安定性は向上するため、選択時にはトレードオフを考慮する必要があります。
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タイヤサイズの影響:
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G・Z・PHEVグレードで標準の19インチタイヤは、見た目や操縦安定性では高評価ですが、転がり抵抗が増えるため燃費は若干悪化します。
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実際の試乗では19インチ装着時、平均実燃費は**約15%低下(24.3 km/L)**という結果も報告されています。
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一方で17インチタイヤを選択したPHEVでは、EV航続距離が105 kmに延伸し、WLTC燃費は最大30.1 km/Lと改善しています。
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燃費を極めたい人に伝えたいこと
モデル | 強み | 燃費性能(WLTC・2WD) |
---|---|---|
U・X(1.8 L HEV) | 低燃費重視 | 約32.6 km/L |
G・Z(2.0 L HEV) | 走りと燃費のバランス | 約28.6 km/L |
PHEV | EV走行でガソリン使用抑制 | 約26.0 km/L(EV併用時実質はもっと高い) |
さらに、E-Four(4WD) や 大型タイヤ(19インチ) は使い勝手や見た目にメリットがある反面、ほんの少し燃費を犠牲にする要因となります。
自分のライフスタイルや走行環境に合わせて、最も「燃費」と「実用性」が両立できる選択をするのが、プリウス選びのコツです。
3. 実燃費の傾向と実例
3-1. 実燃費データの平均とユーザー報告
カタログ値(WLTCモード)の燃費は非常に優れていますが、実際の走行では条件や運転スタイルにより差が出ます。ユーザーやデータに基づく実燃費の傾向は以下の通りです:
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燃費記録アプリやオーナー報告では、平均で20~28 km/L程度という声が多く見受けられます。
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また、カー掲示板などでは、総合燃費で約24 km/Lという記録も報告されています。
つまり、日常的な使用ではカタログ値より控えめな数値に落ち着くケースが一般的ですが、それでもプリウスは高い実燃費性能を維持しているといえます。
3-2. モデル別・シーン別 実燃費の傾向(市街地/郊外/高速)
走行するシーンごとに燃費の実態を見てみると、異なる特徴が浮かび上がります。
市街地走行
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GAZOO編集部の実測では、「普通の運転」で 23.3 km/L、「加速強めの運転」で 21.6 km/Lという結果が出ています。市街地では運転スタイルによる差が非常に大きいという点が印象的です。
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ナビゲートAMCの記事によると、市街地走行での実燃費は約22 km/L程度になるケースが多いとされています。
郊外走行
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同じくナビゲートAMCでは、郊外走行では27 km/L程度まで燃費が伸びると報告されており、信号や渋滞の影響を受けにくいことが効いています。
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また、2WD・17インチタイヤ装着では、郊外モードで34.4~35.5 km/Lという高燃費カタログ値も存在し、理想環境下でのポテンシャルの高さが窺えます。
高速道路走行
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高速巡航では安定走行が可能なため、25.8 km/L程度という実燃費が報告されています。
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また、17インチ装着時には高速モードで28.9~30.7 km/Lと非常に優れたカタログ値もあります。
3-3. 実走行テストによる参考値(例:GグレードとUグレードの比較)
実際の走行テストで得られた、生のデータは非常に参考になります。KINTOコラム編集部が行った名古屋市内~高速を含む約100kmの走行実験では、以下のような結果になりました:
グレード/パワートレイン | 実燃費(km/L) |
---|---|
Uグレード(1.8 L HEV) | 30.8 |
Gグレード(2.0 L HEV) | 28.9 |
どちらもカタログ値に近い高燃費を記録しており、1.8 Lモデルがわずかに優位という結果が出ています。
実燃費で考えるプリウスの賢い選び方
実燃費に注目すると、以下のポイントが整理できます:
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市街地では運転スタイルによる差が顕著(21–24 km/L程度)。
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郊外や高速では燃費が格段に伸びる(25–30 km/L台)。
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1.8 Lモデルは実燃費でも優位性あり。例えば、Uグレードで30 km/Lオーバーの記録も。
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17インチ・2WDの利用状況によっては、さらに燃費性能を引き出せる余地がある。
読者への一言アドバイス:
「実際にどのようなシーンで走ることが多いのか(市街地・郊外・高速)をイメージされたうえで、1.8 Lモデルか2.0 Lモデルか/2WDか4WDかを選ぶと、燃費と満足度のバランスが取りやすくなります。」
4. 他車との燃費比較
4-1. 他トヨタ車(カローラ、クラウンなど)との燃費差
新型プリウス(第5世代)は、トヨタのセダン系ハイブリッド車の中でもトップクラスの燃費性能を持ちます。国土交通省のWLTCモードによる燃費を比較すると以下のようになります:
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プリウス(ハイブリッド2WD):28.6 km/L ~ 32.6 km/L
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カローラ(ハイブリッド2WD):27.9 km/L ~ 30.2 km/L
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カローラアクシオ:27.8 km/L
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クラウン(ハイブリッド2WD):約18.0 km/L
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プリウス(E-Four):26.7 km/L ~ 30.7 km/L
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カローラ(E-Four):25.3 km/L ~ 28.1 km/L
このように、同じトヨタ車でもクラウンのような高級セダンは燃費が劣る一方、プリウスやカローラは非常に優れた数値を示しています。特にプリウスは、燃費性能の高さで他セダンをリードしているのが明らかです。
さらに、燃費の良いトヨタ車ランキングでは以下のような順位付けも確認できます(WLTCモードの最高燃費ベース):
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ヤリス:36.0 km/L
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アクア:34.6 km/L
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プリウス:32.6 km/L
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ヤリスクロス:30.8 km/L
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カローラ:30.2 km/L
コンパクトタイプではヤリスやアクアに少し劣るものの、セダンではプリウスが群を抜いており、ハイブリッドの成熟度とバランスを感じさせます。
4-2. 海外モデルとの mpg 比較(EPA値)
海外、特に米国市場ではガロン単位による燃費評価(mpg:マイル/ガロン)が一般的です。新型プリウスのEPA燃費(Combined:市街地+高速)は以下の通りです:
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LE(FWD):約 57 mpg(約 24.2 km/L)
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XLE/Limited(FWD):約 52 mpg(約 22.1 km/L)
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LE(AWD):54 mpg(約 22.9 km/L)
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XLE/Limited(AWD):49 mpg(約 20.8 km/L)
このEPA値は、実際の使用環境に近い「Combined(総合)」値なので、読者には非常に参考になります。また、AWD(四輪駆動)の導入により燃費が若干低下する傾向も把握できます。
燃費比較から見えるプリウスの強み
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トヨタ車の中でも最も高燃費:プリウスは同社のセダン型ハイブリッドでトップの燃費性能を誇ります(WLTCモードで最大32.6 km/L)。カローラやクラウンと比べても明確に優位です。
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海外モデルでも驚異的な燃費:EPA基準で見ても、FWDでは57 mpg(約24.2 km/L)と非常に優れた燃費を実現。AWDモデルでも十分な効率性を維持しています。
読者には「プリウスの燃費性能は、トヨタ代表として他モデルと比較しても突出している」「海外数値でも優秀さが裏付けられている」という点をしっかり伝える構成になっています。
5. まとめ:燃費を重視したグレード選びのポイント
5-1. 経済性優先ならどのグレード?(2WD vs E-Four、ハイブリッド vs PHEV)
燃費性能を最重要視するなら、以下の選択肢が明確におすすめです:
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1.8L ハイブリッド(U・X)2WD
WLTCモード燃費は 32.6 km/L と新型プリウスで最も高い燃費性能を誇ります。
維持費(ガソリン代)を抑えたい方に非常に向いています。 -
ハイブリッド(Z・G)2WD
パワフルな2.0Lシステムを搭載しつつ燃費も良く、WLTCモードで 28.6 km/L。
安定した走りと燃費のバランスを重視する方におすすめです。 -
E-Four(電気式4WD)モデル
4WDの安心感がありながら、2WDと比較して燃費は 約1.5~2.0 km/L 程度低下する傾向があります。 -
プラグインハイブリッド(PHEV)G/Z(2WD)
WLTCモードで 26.0 km/L(19インチタイヤ)を達成しつつ、EV走行(約87 km、17インチなら105 km)により実質的なガソリン消費を大きく削減できます。
通勤や短距離移動が多く、充電設備がある方には最もガソリン代を抑えられる選択です。
こうした特性を表にまとめると次のようになります:
グレード・駆動方式 | おすすめの目的 | WLTCモード燃費 |
---|---|---|
U・X(1.8L HEV/2WD) | 燃費重視&維持費削減 | 32.6 km/L |
Z・G(2.0L HEV/2WD) | 燃費と走りのバランス | 28.6 km/L |
E-Four(各グレード) | 雪道や悪路での安心感重視 | 2WDより約1.5–2.0 km/L低 |
PHEV(G/Z/2WD) | EV通勤がメインでガソリン節約優先 | 26.0 km/L(EV併用で実質更に向上) |
5-2. 日常利用での選び方のアドバイス(通勤距離・走行環境に応じて)
日常の走行スタイルや走行環境によって、最適なグレードは異なります。以下のように考えると選びやすくなります:
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通勤や買い物が中心/短距離メイン/EV充電環境が整っている方
→ PHEV(G・Z/2WD) が最適。ほとんどEVで走れ、ガソリン代がほとんどかかりません。 -
主に市街地の短〜中距離走行メインで、コストも重視したい方
→ U・X(1.8L HEV/2WD)。燃費が最も高く、ランニングコストが低い選択肢です。 -
高速道路や郊外での長距離走行が多い方、ある程度の走りと燃費のバランスを求める方
→ Z・G(2.0L HEV/2WD)。力強さと低燃費を両立できます。 -
雪道や雨天、多様な路面環境が多い地域にお住まいの方
→ E-Four を検討。燃費は少し落ちますが、安全性が向上します。 -
維持費や燃料費を抑えたいけれど、初期費用を抑える選択肢も欲しい方
→ U・X か G(HEV)がおすすめ。PHEVは車両価格が高めですが、長期的にはメリットも大きいです。
総じてのアドバイス
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通勤・日常使い:PHEVが最もコスト効率が高く、特に充電環境が整っていれば最適。
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市街地中心でコスト重視:1.8Lモデル(U・X)が圧倒的に燃費効率が良くおすすめ。
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長距離・郊外・高速走行が多い:2.0L(Z・G)が走りと燃費のベストバランス。
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積雪や悪路の多い地域:E-Fourで安全性を優先する選択。
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ライフスタイルに合わせた長期的なコスト管理が重要:初期費用だけでなく、ガソリン代や税金も視野に入れるのがおすすめです。
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